KOBE ART MARCHE

Interview 09 / no.9

No.9 meets KOBE ART MARCHENo.9 meets KOBE ART MARCHE

no.9こと城隆之さんは、エレクトロニカやポストクラシカルと呼ばれるジャンルを中心に活躍するサウンドクリエイターだ。「音と共に暮らす」をテーマに数多くの楽曲を生み出し、美しく、繊細な音楽で多くのファンを魅了し続けている。
そのno.9に2015年の神戸アートマルシェのWEBサイトに使用する楽曲制作をお願いした。一定間隔置いて撮影した何千枚もの写真を繋げて作るタイムラプス動画に、都会的かつ叙情的な曲が乗る。魂が吹き込まれたように動く神戸の景色を見て、音の力はやはり偉大なんだと実感する。no.9の制作スタジオにお邪魔にして制作風景を見学させていただくとともに、今回の楽曲や音楽に対する思いを聞いた。

Photo: Shingo Mitsui Text: Shingo Mitsui / Yuki Teshiba

日々の感傷を音楽に

今回の楽曲のコンセプトを教えてください。
神戸の景色をタイムラプスにした映像に「繰り返す日々」そして、「同じ日は来ない」という少しセンチメンタルな日常感の要素を含めて音楽にしました。今回の楽曲、繰り返されるメロディーをテーマに8小節16秒ごとに前項を引き継いで進化していく楽曲です。さらにタイムラプスなのでミニマルな要素をふんだんに取り入れることで、映像とのリンク感も感じることが出来ると思います。若干、音楽的な和音などが強いですが、そこはある意味no.9の名前が出るということで主張も入れなくてはというエゴでしょうか(笑)。アートマルシェの会場である、神戸メリケンパークオリエンタルホテルをバックにフェリーがくるりとまわるところなど、音楽的な動きも多く、きっと違った見え方をするのではと思っています。

都会で暮らす、都会でつくる都会で暮らす、都会でつくる

普段、音楽制作をする上でこだわりはありますか?
ぼくは東京に居住して音楽制作をしています。だから、”都会で暮らしながら作る音”というものを大事にしています。アコースティックな音をデジタルでエディットするというのは、例えば田舎の大自然の中でギターを弾くのとのは違うと思うんです。デジタルデジタルするという意味ではなく、最終的に与える印象はアコースティックな雰囲気だとしても人の手が入っているという感覚ですね。
制作する中で、スランプになることはありますか?
ありますよ。よくあります。打開する方法はスランプと気がつかないくらい作る。ダメなものを100曲作っても、101曲目に良いものが出来たら、そこに至る道だったのかなって思います。ここ数年は休んだ日は1日もない気がするくらい、音楽を作っている気がします(笑)。

未来は音楽をつくる、その先に未来は音楽をつくる、その先に

今後の活動についてお聞かせください。
音楽を作り続けられたらいいなと思っています。僕が音楽を作って生活できるのは誰かが求めてくれているおかげ。ただ、そう思ってもらい続けることが一番難しいことなんじゃないかな。今まで自分が歩いてきた道もそうですが、予定を立ててもあまり意味がなかった。今回お話しをいただいた神戸アートマルシェとの出会いもそうですが、音楽を作ることで出会いが生まれ、何かが起こり、今ここにいる。作るという行為の延長線上に面白いことが待っていると僕は信じています。だから、これからもずっと作り続けていきたい、そう思っています。

ARTIST PROFILE

No.9(ナンバーナイン)

「音と共に暮らす」をテーマに、日々の暮らしに寄り添う楽曲を生み出す作曲家・城隆之のソロプロジェクト。
90年代初頭から音楽活動をはじめ、97年にno.9名義でエレクトロニクスとアコースティックの融合による作品制作を開始。現在までに7枚のフルアルバムをリリースするほか、テレビCMやWebサイト、公共機関のサウンドデザインなど多方面で活躍中。近年は橋本徹氏監修のコンピレーション『MELLOW BEATS, FRIEND&LOVERS』や、坂本龍一氏のトリビュート作品『Ryuichi Sakamoto Tri-bute』などにも参加している。

http://www.nano-graph.com/no9/
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