2025.03.21
第10回【Artist meets Art Fair】入選者発表
第10回「Artist meets Art Fair」入選者発表
新たなアーティストの発掘と支援のための公募展、第10回「Artist meets Art Fair」におきまして、厳正なる審査の結果、最優秀賞:1名、入選:6名(一般枠3名 / ミッドキャリア枠3名)のアーティストが決定いたしました。
本年は例年以上に大変多くのご応募をいただきました。心より感謝申し上げます。
選出されたアーティストは、2025年5月16日(金)〜18日(日)開催の「KOBE ART MARCHÉ 2025」にて、最優秀賞1名は個展形式、入選6名はグループ展にて、会場の客室ブースでの展示を行います。
会期中には来場者の投票で決まる「オーディエンス賞」も実施されます。
また、出展ギャラリーとのマッチングを行い、アートマーケットとの出逢いのきっかけ作りも積極的にサポートいたします。
入選アーティストによる「KOBE ART MARCHÉ 2025」での展示に、ぜひご期待ください。
■ 最優秀賞:1名
星 詩奈
■ 入選:6名(五十音順)
[一般枠]
ohasu.
桜井 旭
橋本 百合香
[ミッドキャリア枠]
北村 隆浩
小林 眞治
中谷 ゆうこ
〈審査員総評〉
川田 泰
(川田画廊 代表取締役 / 一般社団法人 神戸芸術振興協会 理事)
本年は35歳以下を「一般枠」、36歳以上を「ミッドキャリア枠」といたしました。
大変多くの素晴らしい作品をご応募いただいたなか、とくに平面作品がより充実していたような印象を受けました。アーティストのポテンシャルや成長性を探るには、背景や経歴も参考にしますが、何よりも作品自体に重きをおき審査いたしました。僅差で入選に至らなかった方も多くいらっしゃいましたが、来年のご参考のためにも、ぜひ会場で入選作品の展示をご覧ください。
阿部 和宣
(みぞえ画廊 専務取締役 / 一般社団法人アートフェアアジア福岡 代表理事)
まず、こんなにたくさんの方に応募いただいたことに驚きました。それだけ意欲の高い、制作に、表現に向き合うアーティストがいると言う事は、日本のアート界の未来は明るいと感じました。
作品も多種多様で、流行を意識している感じも少なく、良い傾向だと感じます。審査している方も刺激を受けました。公募展の審査結果というのはほんの一部の評価に過ぎません。入選された方もそうではない方も、自分の表現に自信をもって追求していっていただきたいと思います。
Carol Yang
(Uspace Gallery キュレーター, Infinity Japan Contemporary Art Show ディレクター)
I always assess entries with three key criteria in mind: originality, values that evoke a sense of resonance and market appeal. It’s truly rewarding to uncover such exceptional emerging talent.
[和訳]
私はいつも、独創性、共感を呼び起こす価値観、マーケットへのアピール力という3つの重要な基準を念頭に置いて応募作品を審査しています。このような優れた新たな才能を発掘することは、本当にやりがいのあることです。
[特別審査員]
宮本 亜津子
(BBプラザ美術館 学芸員)
今回初めて審査に参加させていただき、画像による判断の難しさを感じる部分もありましたが、多彩な応募作品を拝見するたびに、新鮮な喜びがありました。最初に主体である作品のみを見て審査を行い、その後に題名やステートメント、経歴といった情報を参照するかたちをとりました。
表現方法は様々でしたが、内なる世界であってもその人らしさが出ていること、何か琴線に触れるものがあり、普遍性を感じることを特に意識しました。
真摯に制作に向き合われ、応募されたことが次の一歩につながっていることをお伝えできればと切に思います。
■ 最優秀賞
星 詩奈 Hoshi Shiina
Instagram. https://www.instagram.com/hoshi_shiina.artworks
「芝居」 油彩、キャンバス 89.4×130.3cm
〈審査員講評〉
絶対的な世界観が確立している作品だと思いました。箱庭に登場するキャラクターそれぞれの心情が見事に表現され、作品全体の空気感を作り上げ、そこにある物語を想像させます。迷わず1番に票を投じましたが、最優秀賞に選ばれる確かな実力があると思います。実物を見るのが楽しみです。
(阿部 和宣)
箱庭という象徴的な空間を通じて、光と影、関係性の揺らぎを巧みに描き出しています。羊や犬といったモチーフが持つ寓意性を活かし、静寂の中に潜む緊張感や物語性を感じさせます。構成力と色彩感覚にも優れ、鑑賞者に深い余韻を残す作品として評価いたしました。
(川田 泰)
■ 入選
[一般枠]
ohasu.
Instagram. https://www.instagram.com/kaj1ka_publish/
「風来猫とバンジョー弾き」 孔版印刷 20×20cm
〈審査員講評〉
The technique is well-honed, and I look forward to seeing a broader range of subject matter.
[和訳]
技術は十分に磨き上げられており、より幅広い題材を見るのを楽しみにしています。
(Carol Yang)
親しみのある、どこか懐かしいような不思議な街並みを描いた世界観に惹き込まれました。
モノクロの作品にもカラーの作品にもそれぞれに味わいがあり、細部まで独自のこだわりが詰まっていながら、どこかユーモラスな空気感で、見ているうちに作品の世界に入り込んでしまいそうな興味深い作品です。
(川田 泰)
桜井 旭 Sakurai Akira
Instagram. https://www.instagram.com/raisakusakusaku/
「Finns relaxing in Old Church Park」 油彩、マイラー、板 33×46.5cm
〈審査員講評〉
一目見て、場の空気と時間が生きている画面に魅かれました。ある意味で“現場”がキーワードとなるような、対象観察を徹底した絵画制作では、取り巻く環境や人々からの影響をも取り入れているとのこと、熟考と実践を重ねる誠実な創作姿勢を感じます。新たな展開にも大いに期待しています。
(宮本 亜津子)
橋本 百合香 Hashimoto Yurika
Instagram. https://www.instagram.com/yurika_hsmt/
「きになるあのこ」 ミクストメディア、白亜地 70×165×2cm
〈審査員講評〉
日本画の枠を超えた実験的な表現と、コラージュや箔を用いた独自の技法が秀逸。視覚的な偶然性を通じて、現代における記憶や文化の積層を探る姿勢を評価いたしました。
(川田 泰)
[ミッドキャリア枠]
北村 隆浩 Kitamura Takahiro
Instagram. https://www.instagram.com/daron_0796/
「ほこら」 鹿角 180×20×20cm
〈審査員講評〉
誰もが思ったと思いますが、鹿の角をどうやってここまで彫り、この造形を創り出しているのだろう?単純に先ず見てみたい、それが投票の一番の動機です。鹿の角という素材が、コレクションや販売にどう影響するかという点をアーティスト自身がどう捉えているかも興味深いです。
(阿部 和宣)
鹿角という独自の素材を活かし、生命の儚さと力強さを見事に表現。自然と生活の関係を探求する姿勢が作品に深みを与え、工芸とアートの境界を超えた独創性を評価いたしました。
(川田 泰)
小林 眞治 Kobayashi Shinji
facebook. https://m.facebook.com/shinji.kobayashi.397/
「無題」(『Lifetime colors series』より) オイルパステル、紙、パネル 90×72.8cm
〈審査員講評〉
平面絵画の可能性を極限まで追求するような色彩とマチエールの純度の高さに圧倒されました。
制作テーマである「Lifetime colors」のとおり、その時々の思いや感情を色彩に留めることに集約して、オイルパステルを使用してデッサンのように描いておられるとのこと、この洗練への鍛錬が今後更に深まることを予感しました。
(宮本 亜津子)
色彩の層が織りなす豊かな表現力が際立ちます。オイルパステルによる独自の手法が、光と感情の融合を詩的に描き出し、作品に深みを与えています。「Lifetime colors」のテーマが一貫しており、色彩の対話が印象的でした。
(川田 泰)
中谷 ゆうこ Nakaya Yuko
Website. https://yukonakaya-jp.blogspot.com/
「まどろむ」 油彩、キャンバス 130×162cm
〈審査員講評〉
なんとも不思議な絵だと思いました。一見何を描いてるかわからないけど、何かを描いてる様に思える。タイトルや説明を読むとだんだんと輪郭が浮き出てくる。実物はどんな風に見えるのだろう?大きなサイズでこの表現ができるのは確かな画力があるからだと想像されます。
(阿部 和宣)
*入選アーティストの作品は、「KOBE ART MARCHÉ 2025」会場にて展示いたします。
展示の詳細については、公式Webサイトにて随時お知らせいたします。
KOBE ART MARCHÉ 2025
開催日時:2025年5月16日(金)〜18日(日) 11:00〜19:00
*5月16日(金)は招待者・報道関係者向けのVIPプレビュー
会場:神戸メリケンパークオリエンタルホテル7階(兵庫県神戸市中央区波止場町5-6)