Kobe Art Marché 2023

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日髙衣紅

どちりな・きりしたん(カサナテンセ本)
インク、紙 / 26.2×19×2.5cm / 2023

天草版平家物語
インク、紙 / 27×17×20cm / 2022

サントスの御作業の内抜書
インク、紙 / 15×10×20cm / 2022

Statement

 昔、骨董品店で働いていたことがある。寺社で頒布された御札、古書店で手にした版本や古新聞のインクのかすれやにじみを見るのが好きだった。人の手によって摺られた痕跡、あるいは機械のエラーによって生じるフラットでない紙の上の様相に、印刷に携わった人の存在やその場所の歴史を感じ取ることができるからだ。

 今でも骨董市や古書店に行き古い版本や印刷物を収集している。ときに好奇心に駆られてそれらが印刷された場所に赴き、その印刷物にどのような人が関わり、どのような歴史があったのかを調べたりする。このようなフィールドワークが今の私の制作に繋がっている。

 収集あるいはリサーチした印刷物をモチーフに、シルクスクリーンでインクを摺り重ねていくのが私の作品の制作手法である。印刷物が辿った運命を追体験するように数百層のインクを手で摺り重ねていく。インクの重なりと次第に崩れていく造形によって、その印刷物と共にあった人や場所の記憶を表そうとしている。

Profile

1990年
千葉県生まれ
2012年
多摩美術大学卒業
2016-2017年
国立台湾藝術大学に交換留学
2018年
筑波大学博士前期課程修了
現在
筑波大学博士後期課程在籍、特任研究員

Web site

https://ikuhida3.wixsite.com/website