Kobe Art Marché 2023

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七月の鯨

作品1. Re: in(fill)terpretation 孤立 / 爆発
自動車用ウレタン塗料 / 亜鉛合板 / レザー / アルミ押し出し材 / 175×45 / 2022

作品2. Re:In(fill)terpretation
パーティクルボード、墨 / 70×60×2 / 2023

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Statement

作品1:
本作は、製作を始めた日に最もニュースで目にした2文字を、その文字からインスピレーションを得た配色で刻印した。作家が慣れ親しんだ版画的手法でもある自動車用塗料によるマスキング塗装を用い、亜鉛合板に6層吹き付けた。 美しく、長く保てる溶剤塗装を用いた自動車も、資本主義の加速で10年足らずで廃棄されていることへの問いとして、墨と紙の対極の素材を用いた。 また表具も劣化しにくいレザーやアルミなどを用いている。立体的に映る文字は、新しい複製技術である3Dプリンタで印刷する際に内部に生成される構造体=INFILLによって形作られた文字の骨組みである。現在多く流布しているゴシック体を立体化したものから生成された構造を文字と見立てることによってそれは「文字に基づいた文字」となる。 文字の虚の部分である構造体にフォーカスすることで、文字の本質や質量を問うことを試みる。
作品2:
私は長崎に生まれた。幼いながらに記憶に残るのが、原爆の熱線により生じた人物とハシゴの影の写真だ。本人はもういないが存在は確かに刻印されている。私は人より記憶力が劣っている自覚がある。昨日の出来事、人から頂いた大切な言葉も徐々に侵食されながら色彩と輪郭を失っていく。文字は、その意匠が侵食され、形を失ってもなおその存在を証明することはできるのだろうか。本作は、ゴシック文字を立体化し、3Dプリンターで出力する際にソフトウェアが自動的に生成する構造体=INFILLのみを残した『文字の骨格』をフォントとしている。これを工業的な手法であるマスキング塗装を用い、墨をスプレーで吹き付けた『書かない』書である。吹きつける墨のコンディションによって表情を変える他力的な本作は、時にほぼ可読できない作品が出来上がる。果たしてそれは文字なのか。文字の本質とはなんなのだろうか。私は、長崎の影の写真を思い出す。
作品3:
本シリーズは記憶のカタチを現像する『全方位的な書』作品である。 自身の故郷の記憶を形状として捉え、手によって立体化する行為によって、失われつつある記憶のイメージをログとして残していく。この行為には必ず自己身体が必要であり、本作は自意識と物体が同一の身体性を持つものとして作られる。 本作は故郷の海の砂や、旅をした土地の土、マンガンといった工業的な物質を即興で混ぜ込んだ陶土で造形をしている。これに黒色の泥漿を塗り、『記憶のリズム』を表す文字列をオブジェ一面に掻き落として刻み込んでいる。これらは一度のみ焼成され、形状が定着し、永続性の高い物質として現像されて続けている。

Profile

長崎県佐世保市生まれ。陶芸家の父の影響で工芸に囲まれて育つ。
石川県金沢市の美術学校を卒業後、モーターサイクルや自動車のデザインを行う傍ら、アート作品の制作を行う。2022年よりART SHODOの運動に参画する。
侵食され風化する記憶の儚さを、さまざまな素材や手法を用いて表現する。曖昧なものを具現化し続けることで成立する『現代の文字群』を目指し、制作を行なっている。

2022年. SHODO NEW AGE (Eastern conference) (市川)
SHODO NEW AGE (Western conference) (京都)
ART SHODO SELECTION in Tokyo (三鷹)
2023年 ART SHODO SELECTION in Tokyo#2 (三鷹)
SHODO NEW AGE (京都)
ART SHODO EDGE. (GALLERY SCENA by秋華洞 東京 / 神宮前)

現在石川県金沢市を中心に活動

Web site

https://thewhalesofjuly.squarespace.com/