Kobe Art Marché 2023

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山本 尚志

マシーン(額装)
和紙にボンド墨 / 52×69.3 / 2023

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Statement

これは書の作品である。最終的には「文字」を書くのであるが、その意味を込めて書くには、きっかけが必要であり、周りの図形(物体らしきもの)がそれである。私はマシーンの図形を予め描き、それを認めた上で「マシーン」と書いている。

先の「マシーン」シリーズは2012〜2015年を中心に書いたものだが、今回の再制作にあたっては、かつての「マシーンエイジ」という工業製品的ニュアンスから、パソコンの電子部品、あるいはネットワークを示す「腕のようなもの」が作品の要素として外せなくなり、そのように変化したと考えている。

「マシーン」、すなわち電子デバイスを含む一連の「装置」が、我々の世界にはひしめいている。巨大な工業工作機械のこともあれば、平面的なマイクロチップのこともある。それは、人間世界、あるいはその世界観が3次元から2次元へと、そんなふうに、現実世界がバーチャルな世界に移行したことを示すようでもあるのだが、忘れないでもらいたいのは、これが「書の作品」であるということだ。

つまり、元々2次元だったものが、疑似的な3次元の図形を予め描き、そこに文字を入れていくことで成り立つように仕向けたこの作品は、そもそも水墨画の傍にある「画讃」にもあるように、平面である文字と絵面の立体の交差する微妙なニュアンスを含んでいた。その両者を同時に引き合わせたのが私の作品であるのだ。

そして、今の私の作品「マシーン」の以前からの変化とは、今の人間社会に生きる、そんな私の頭の中の変化そのものなのだ。(2022年記す)

Profile

1969 広島市生まれ
主な展覧会
2020 個展「入口と出口とフタと底」(ユミコチバアソシエイツビューイングルーム・東京)
2019 個展「マド」(PLACE by method・東京)
2018 個展「トリプルタワー」(寺田倉庫TMMT・東京)
2017 個展「ドアと光と音とガラスと水」(gallery feel art zero・名古屋)
個展「バッジとタオルと段ボール」(Bギャラリー・東京)
個展「Speech balloon」(ギャラリー NOW・富山)
「現代アート書道の世界」(新宿高島屋美術画廊・東京)出展、キュレーション
2016 個展「flying saucer」(ユミコチバアソシエイツビューイングルーム・東京)
2015 個展「マシーン」(ギャラリーメタノイア・パリ)(ウナックサロン・東京)
2014 個展「40個のそり」(下北アートスペース・東京)
個展「イス」(下北アートスペース・東京)
個展「タワー」(下北アートスペース・東京/アートフォーラムJARFO・京都)
個展「マシーン他」(下北アートスペース・東京)
2013 日・中現代精鋭書画作家展「書と非書の際(きわ)」(京都文化博物館)出品
2011 書の交差展2011(Galleryやさしい予感・東京)参加
2009 一人快芸術(広島市現代美術館)出品
2008 ソウル書芸ビエンナーレ(国立ソウル芸術センター・ソウル)出品
2007 文字区2007 / 2009 文字区2009 参加(東京芸術劇場)参加
2006 世界書芸祝祭(ソウル)出品
2004 第1回天作会 -井上有一に捧ぐ書の解放展- 参加 同展第2~7回
1991 ウナックトウキョウにて井上有一カタログレゾネのための作品整理に3年間携わる
井上有一のほぼ全作品の作品サイズと記録用スナップ写真を撮影
1988 東京学芸大学教育学部芸術課程書道専攻に入学

Web site

http://ycassociates.co.jp/artists/2019/03/20/232/