Kobe Art Marché 2023

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Ouma(オーマ)

作品1. 巨大ケーキの上を素足で跳ねる(気持ち)
アクリル、インクジェットプリント、ペン、キャンバス / 60.5x 50 x2 / 2022

作品2. もじのともしび
ステンレス、ろうそく、スプレーペイント / 18x 10 x10 / 2021

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Statement

作品1
本作は、弱った作品に対する「包帯」である。作品として生み出されていながら、環境に適応できずに死んでいく存在を、ひたすらに癒すために施された治療が、本作の主題である。物理的な包帯と、内面を癒すための意味を添え、作者は作者自身と共に、作品を癒す。半透明の色帯の下には、傷つき失われた作品の面影を感じることができるが、すでに本作は別の作品として、新たな名を与えられている。もしも、本作が作品としての存在価値を認められたとしたら、礎となった存在の価値も同様に認められることになるのだろうか。
作品2
文字でつくられた本作は、ろうそくの灯に照らされて文字の影が周囲に落ちる。外から見ると、筐体の文字はさかさまに刻まれているため、影の方が文字の正しい向きで描写されることになる。ろうそくが短くなるにつれ、影は徐々に天井に向かって伸びていく。作者は文字を文化の最小単位と考え、人間を結び社会をつくるために必要な要素だと考えている。
本作は、日常的に描かれ、廃棄されていく最小の文化に対する供養を込めた作品である。

Profile

東京都出身、元獣医師。ある時から亡くなった子の絵を描いて家族に送るようになり、その数は100以上に。小さな絵に感動していただけたことをきっかけに、アートを通じて獣医師の仕事の本質である「ヒトの心の癒し」が全うできる方法はないかと考え始める。2013年に美術批評家・海上雅臣氏主宰のギャラリー・ウナックトウキョウで行った、ギャラリーを画で覆う個展をきっかけにアート活動を本格化。体験と創造を鑑賞者と協働する創作者の不鮮明な作品を通じ、新しい生命の定義を模索してきた。

主な作品は、細胞のような小さな作品が増殖と喪失をつづけ、一つの巨大作品として成長し続けるオープンエンドプロジェクト「系統樹/Phylogenetic Tree」。複数の細胞膜のような紙作品を鑑賞者が破壊、結合することで不確実な形状を生み出し続ける「集合生命/Life Continuous」など。

2016年よりSwatch Art Peace Hotel(上海)、ACCR – ODYSSEE ARTIST-IN-RESIDENCY PROGRAM 2018(フランス)、Danish Art Workshops(デンマーク)、Hongti Art Center(韓国)など世界13か所のアーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加。世界各地を渡り歩いてきた経験をもとに、これまで考えてきた生命観を医療に結び付けた「社会治療」という概念を提唱。 ヨーゼフ・ボイスの「社会彫刻」を踏襲しながら、すべての人を社会という生命体を治療する医師に変え、社会から治療される患者にするという「社会とヒトとの関係」を構想。創作を通じて、人と社会の最適な関係性を模索している。
アートプロジェクト「SORA」主宰。